前回の記事では、仮設電気工事の建柱・開閉器盤取付を書いた。
▶ 前回の記事:CVT60SQを100m通線。3人で528kgの摩擦に挑んだ仮設電気工事
今回はその続き。電力会社の電柱から構内の引込柱へ、引込線を敷設する工事の話。
引込工事とは
建物や現場に電気を届けるには、電力会社の電柱から敷地内へ電線を引き込む必要がある。この工事を「引込工事」と呼ぶ。
前回の記事で仮設の引込柱を建てた。今回はその引込柱に、電力会社の電柱からDV線を架けて電気を引っ張ってくる。
DV線とは
DV線(引込用ビニル絶縁電線)は、電柱から建物へ電気を引き込むための架空電線だ。JIS C 3341に規定されている。
「DV」は「Drop wire, Vinyl insulated」の略。電柱間の高圧配電線とは違い、低圧(100V/200V)の引込に使われる。
導体は銅線。JIS C 3101に規定する硬銅線、またはJIS C 3105に規定する1種硬銅より線を使う。ただし22mm²から60mm²はJIS C 3102に規定する軟銅線を同心円状により合わせたもの。
絶縁被覆はビニル(PVC)。色は相の識別のために分けられていて、3芯の場合は黒・緑・青の3色。電柱の上で撚り合わせた状態で架空されている。
高所作業車2台で架線作業
今回の引込工事では、高所作業車を2台使った。
1台は電力会社側の電柱。もう1台は構内の引込柱。それぞれにDV線の端を持って、柱間に架ける。
架線するときに重要なのが弛度(しど)。電線のたるみのことだ。電気設備技術基準の解釈第116条で、低圧架空引込線の高さが規定されている。道路を横断する場合は路面上5m以上(技術上やむを得ない場合は3m以上)、鉄道・軌道の横断は5.5m以上、その他の場所では4m以上。弛度が大きすぎると地上高が確保できず、小さすぎると電線に過大な張力がかかる。
DV線とCVTケーブルの接続 PJコネクタ
引込柱の上では、架空のDV線と柱を立ち上がってくるCVTケーブルを接続する。
この接続に使うのが「PJコネクタ」だ。
PJコネクタのPJは「Parallel Joint」の略。電線同士を平行に接続するコネクタで、ボルト締め付け式の構造になっている。締付部にトルクキャップ(プラスチックキャップ)が付いていて、適正トルクまで締め付けるとキャップが破壊する。これで締付不足も締め過ぎもない。目視で締付完了を確認できる仕組みだ。
接続後は絶縁カバーを被せて絶縁防護をする。
計器取付板とスマートメーター
引込柱からCVTケーブルで引き下ろした電気は、計器取付板へ送られる。ここに電力メーターを取り付ける。
今はどこの現場でもスマートメーターだ。
スマートメーターは、電力の使用量を30分ごとに自動計測して、通信で電力会社に送る電子式メーター。検針員が来る必要がない。
写真でメーターの下にぶら下がっている小さい箱。あれが通信ユニットだ。無線(Bルート/Aルート)で電力会社のサーバーと通信している。
今回は電灯と動力の2回線分。メーターも2台取り付けた。
電柱2本分の引込が完了
これで電力会社の電柱から構内の引込柱2本分の引込工事が完了した。
前回の記事でCVTケーブルを通線してから、建柱・開閉器盤取付、そしてDV線の架線、PJコネクタでの接続、スマートメーター取付。一連の流れで仮設の受電が完了した。
無事に受電。現場に電気が来た。
今回の失敗 CVT38sqがメーター端子に入らない
ひとつ失敗があった。動力用メーターの1次側・2次側にCVT38sqを使ったのだが、施工中にメーターの端子に納まらないことが判明した。
原因は計器の定格容量。今回取り付けた動力メーターは三相200V 60Aのスマートメーター。60A計器の端子に接続可能な電線サイズは最大22mm²までと定められている(三菱電機スマートメーター仕様:接続可能電線 直径1.6mm〜22mm²)。CVT38sqは導体断面積38mm²で、端子の物理的なサイズを超えている。
そもそもCVT38sqの許容電流は気中敷設で約155A。60Aの計器に対して明らかにオーバースペックだった。電圧降下を考慮した幹線の太さをそのままメーターまで持ってきてしまった形だ。
急遽CVT22sqをジョイントして接続した。22mm²なら端子に収まるし、許容電流も約100Aで60A契約には十分な余裕がある。現場で気づけたから対処できたが、事前の確認不足だった。
計器の定格容量と端子の適合電線サイズは、施工前に必ず確認しておくべきポイントだ。
次は本設の電気工事が始まる。仮設はあくまで工事中の電源。ここからが本番だ。
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