事務所の土地と建物を、思い切って購入しました。
正直に言うと、最初は積極的に買う気はありませんでした。事務所は何も生まない。リターンがない。売上をつくるのは現場であって、事務所ではない。ずっとそう思っていたからです。
それでも、いろいろな事情が重なり、購入を決断しました。使い始めて1か月。今は「買ってよかった」と思っています。想像していなかった効果がいくつもありました。
駅近のテナントは、快適でした
もともとは、駅の近くにあるビルのテナントを事務所にしていました。立地がよく、打ち合わせもしやすい。県外から来られるお客様にも便利でした。事務所としての快適さでいえば、何の不満もありません。
「リターンがない」と思いながらの決断
購入したのは、もともと倉庫だった物件です。静岡市内を東西に走る幹線道路、北街道沿いにあり、立地はとても良い場所でした。
しかも、今期から来期にかけて手がける、数億円規模の大型新築工事の現場まで、車でわずか5分。狙って選んだわけではありません。たまたま条件の合う物件が、そこにあっただけです。それでも結果として、この上ない立地になりました。偶然のめぐり合わせでした。
それでも、買うと決めるまでは迷いました。土地と建物で約7千万円。事務所にかける費用が、すぐに利益を生むわけではないからです。決め手になった細かな経緯は長くなるので、ここでは省きます。とにかく、覚悟を決めて購入しました。
長く使うための改修
ただ買っただけでは、快適には使えません。長く使うことを前提に、必要な改修を行いました。建物の外周と天井に断熱材とボードを入れ、夏と冬の環境を整えました。さらに、もともと一つの空間だった倉庫に、LGSで間仕切り壁を立て、事務所と倉庫の二つに分けました。
仕上がった事務所は、デスクも応接スペースも収まり、テナント時代に劣らない環境になりました。
使って気づいた、想像以上の効果
実際に使い始めて、いちばん実感したのは「倉庫が隣にある」ことの便利さでした。材料の在庫確認や、道具の段取りが格段に効率化されました。何がどれだけ残っているかがすぐ分かるので、材料の無駄な発注も減ってきました。
効果はそれだけではありませんでした。倉庫が、協力会社の職人さんとのコミュニケーションの場としても機能し始めたのです。仕事の帰りに寄っていただき、ジュースを飲みながら次の工事の打ち合わせをしたり、世間話をしたり。
従業員にとっても、自分たちの居場所ができたように感じています。「事務所は何も生まない」と思っていた自分にとって、これは想像していなかった効果でした。
倉庫の棚は、自作しました
倉庫を活かすには、整理が欠かせません。棚は、アングルとコンパネを使って自分たちで作りました。電気の仕事は部材も道具も種類が膨大です。そこで、用途ごとに棚を分けました。まずは材料の棚。各種の器具や部材を、種類ごとにボックスへ入れて並べています。
次にケーブルの棚。太さや種類の違うケーブルを、すぐ取り出せるようにまとめています。
そして道具の棚。電動工具や手道具を定位置に置き、誰が見ても分かる状態にしています。
それでも、ここに収まりきらないものは、もう一つ持っている倉庫に保管しています。きちんと整理しておけば、現場ごとの段取りが一気に効率的になります。在庫が見える状態をつくることは、そのまま現場の生産性につながります。
外構工事で、出入りも便利に
最後に外構です。前面道路から出入りがしづらい状態でした。敷地は擁壁で囲われ、盛り土でスロープになっていて、駐車スペースを有効に使えていませんでした。そこで擁壁を撤去し、盛り土を切り下げて、アスファルトで舗装しました。
これで車の出入りがとても便利になりました。社用車を停めても余裕があり、敷地全体が使いやすくなりました。
まだ途中、でも動き出せる状態に
正直に言うと、倉庫も事務所も、整理がすべて終わったわけではありません。棚も少しずつ増やしている途中ですし、手をつけたい場所はまだ残っています。それでも、ひとまず業務を始められる状態にはなりました。今はここを拠点に、日々の仕事を回し始めています。残りは、使いながら少しずつ整えていくつもりです。
事務所は「土台」だった
買う前は、事務所を「何も生まないもの」だと思っていました。けれど使ってみると、段取りの効率、無駄な発注の削減、人が集まる場、従業員の居場所。直接の売上にはならなくても、会社を続けていくための土台になっていました。リターンは、数字に表れにくいところにありました。
拠点をどうするか迷っている方がいたら、「何を生むか」だけでなく「何を支えるか」でも考えてみてください。見えてくるものが変わるかもしれません。
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