未経験の女性が、施工管理として入社しました。
受け入れにあたって変えたのは、勤務時間と休日の組み方だけです。仕事の中身は、何ひとつ変えていません。
配慮は必要でした。ただ、それは特別扱いとは違います。
建設業で働く女性は18.4%
2025年の建設業就業者のうち、女性は88万人。全体の18.4%で、過去最高の水準です(総務省「労働力調査」)。
数字だけ見ると、5人に1人が女性ということになります。ただし、この中には事務職も含まれます。技術職に絞ると、女性は約5万人。母数は一気に小さくなります。
つまり、現場を管理する側に女性がいる会社は、まだ多数派ではありません。
変えたのは、時間の組み方だけ
見直したのは勤務時間と休日の組み方です。早出のある現場、遠方への移動、土曜の扱い。このあたりを本人と話して決めました。
1歳の子どもがいます。保育園の送りと迎えの時間は動かせません。動かせないものを先に置いて、その周りに仕事を組んだ、というだけの話です。
理由は単純で、続けられない働き方にしたら意味がないからです。
これは「女性だから」というより、これから人を増やしていく会社として、先にやっておくべきことでした。
変えなかったこと
一方で、変えなかったことのほうが多いです。
- 任せる仕事の範囲と責任:CADでの施工図作成、見積作成、工程の管理まで同じように任せます
- 現場に出ること:配線も配管も、測定も検査も、自分で手を動かします
- 評価と給与の基準:社内規定は全員同じです
- 資格取得の期待値:電気工事士も施工管理技士も、取ってもらう前提は変わりません
ここを緩めると、本人が一番困ります。任されない人は、伸びないからです。
今は高等学校の新築工事に入っています。延べ7,568.48㎡。施工図を描き、現場を管理し、実際の施工まで手を動かす。この規模を図面から施工まで一気通貫で経験できる機会は、中小規模の電気工事会社ではまずありません。
大きい会社なら設計は設計、管理は管理、施工は施工と分かれます。分業のほうが効率はいい。ただ、全部を通して見た人にしか分からないことがあります。
これを最初の現場で経験できるのは、正直かなり大きいと思っています。そこに、現場に女性が少ないという状況が掛け合わさります。数年後には、代わりのいない技術者になっているはずです。
重いものは、すぐ手伝う
とはいえ、体格や筋力の差は現実にあります。重い盤や電線のドラムを持ち上げる場面では、こちらが先に動きます。声をかけられる前に手を出す、というのを社内のルールにしています。
これは特別扱いではありません。重量物をチェーンブロックで吊るのと同じことだと思っています。
人力で無理に持ち上げるのは、根性がある人ではなく、段取りが悪い人です。道具を使うのも、人手を足すのも、正しいやり方です。誰がやるかではなく、どう安全に納めるか。現場の判断基準はそれだけです。
未経験からのスタート
前職は別業界です。電気の知識はゼロからでした。
今は図面を広げて、天井伏図の修正、ケーブルラックの経路、インサートの位置、照明と弱電機器の仕様書確認。ひとつずつ潰しています。
未経験を採るのは、正直、時間がかかります。それでも育てるほうを選びました。中途で経験者を探し続けるより、確実だと判断したからです。
特別扱いはしない。準備はする
受け入れる側がやることは、環境を整えることだけだと思っています。
仕事を減らすことでも、責任を軽くすることでもありません。同じ仕事を、続けられる形で渡す。それだけです。