仮設工事の「おまけ」の話
今回の現場では、仮設分電盤を各フロアに設置する必要がありました。盤そのものは手配済みです。問題はそれを「どう立てるか」でした。
仮設ですから、立てばいい。ただし壁にはビスが打てません。床転がしもNGです。じゃあどうするか。スタンドを用意するしかありません。
ここで「なんでもいい」が出てきます。スタンドの形も材質も、指定はありません。立てばいい。でも、この「なんでもいい」が実は一番難しいんです。
正解が決まっていないから、自分で考えて、自分で決めるしかない。そのとき問われるのは、その人の「経験の引き出しの数」だと思っています。
既製品は1基3万円以上
まずネットで仮設盤用のスタンドを調べました。たしかに製品として存在していました。ただし価格は3万円以上が一般的でした。
15基設置するなら、3万×15=45万円。
仮設です。工事が終われば撤去します。その一時的なスタンドに45万円は使いたくありません。
穴あきアングルで1基数千円
そこで選んだのが、穴あきアングルによる現地製作でした。
ホームセンターで手に入る穴あきアングル。1本2.5mのものを1基あたり2本弱使います。あとは3分のボルトナット、床面の養生にゴム板。
材料費は1基あたり数千円で収まりました。
構造はシンプルな三脚式です。穴あきアングルはボルト穴が等間隔に空いているので、現場でサイズを合わせながら組めます。溶接も不要。ボルトナットだけで完結します。
穴あきアングルで製作した仮設盤スタンド。三脚構造でオレンジの仮設盤を支えている。
方法はひとつじゃない
ちなみに、このスタンドの作り方は他にもあります。
溶接機があれば、アングル材を溶接して作ってもいい。電気工事でよく使う「ダクター」という部材を組み合わせても作れます。既製品を買うのも、もちろん正解のひとつです。
ひとつの施工をするのに、何通りもやり方があります。法的に適合していて、現場の仕様を満たしていれば、どれも正解になります。
「ベストな施工」を考える
これは仮設に限った話ではありません。電気工事全般に言えることだと思っています。
たとえばケーブルラックの支持方法、配管のルート取り、盤の据付方法。どれも正解はひとつじゃありません。やり方が何通りもあって、どれを選んでも仕様を満たせる場面は山ほどあります。
ただ、自分はその中でも「ベスト」が存在すると思っています。コスト、作業効率、見栄え、品質、安全性。こういった要素を総合的に考えたとき、最もバランスの取れた施工がひとつあります。
この「ベストを選ぶ力」は、経験や知識、そして知恵がないと発揮できません。
一番大事なことは、実際にベストを選べるかどうかは別として、ベストな施工があるはずだという意識を常に持っていること。そう思っています。
エル・エル・イー電気株式会社