数千万円の不動産売買決済。銀行の会議室に、司法書士、売主、不動産会社、銀行の支店長が揃います。自分と専務は泥にまみれた作業着のまま、その席に座りました。そんな経営者はたぶんいません。賛否両論あると思います。
決済当日の流れ
不動産の売買決済は、関係者が一堂に会して行います。場所は取引銀行の2階会議室です。
やることは多いです。売買代金の振込、不動産仲介手数料の支払い、所有権移転登記、抵当権設定。これらを司法書士の立会いのもと、一気に進めます。
銀行の振込依頼書に、数千万円の金額を記入します。代表者印を押印し、会社名を記入します。金額が金額だけに、一文字ずつ慎重に書きました。
横判を忘れた
ここでやらかしました。会社の横判(社名ゴム印)を持ってくるのを忘れていました。
「手書きで記入すれば問題ないのでは?」と銀行の担当者に聞いてみました。答えはNOです。横判でないと処理できないと言われました。
急遽、10km先の事務所にいる社員に連絡。横判を持ってきてもらいました。
正直、手書きのほうが筆跡という本人性の担保がある分、信頼性は高い気がします。ですがルールはルールです。金融機関の事務処理には、所定の様式があります。忘れた自分が悪いです。
DX時代でも残る紙と押印の文化
普段の業務では、外部への支払いはすべてインターネットバンキングで完結しています。請求書の処理も、振込も、残高確認も、すべてオンラインです。
それでも不動産の売買決済は、紙の振込依頼書に押印して手渡しします。登記もまだ紙の申請書類が基本です。
デジタル化が進んだとはいえ、大きな金額が動く場面ほど、アナログな手続きが残っています。効率の良し悪しではなく、そういうものだと割り切るしかありません。むしろ、それも良い文化だと思えなくもないです。
日本の印鑑文化は奈良時代にまで遡ります。署名よりも印影を重んじる。欧米とは真逆の信用体系が、令和の銀行窓口にもそのまま残っています。電子契約やデジタル署名が普及しても、不動産登記や銀行の大口取引では、まだ紙と印鑑が主役です。
とはいえ、忘れ物をしないこと。今後は代表者印・銀行印・横判の3点セットを、決済や銀行手続きの際には必ず揃えて持っていきます。
銀行との付き合い方が変わってきた
決済が終わった後、1階の応接室で銀行の担当者と別件の打ち合わせをしました。近々、大型プロジェクト用の資金を借り入れる予定があります。こちらも数千万円単位の話になります。
会社を経営するということは、銀行との関係が密接になるということです。月に何度も支店に足を運び、担当者と顔を合わせます。融資の相談、資金繰りの報告、新規プロジェクトの説明。経営者の仕事の中で、銀行対応は想像以上に大きな割合を占めています。
従業員も増えてきました。毎月の人件費、外注費、材料費。資金繰りにしっかり目を届けなければなりません。売上が伸びても、手元の現金が足りなければ会社は回りません。銀行との信頼関係は、その資金を支える土台になります。
不動産取得は経営にとって正解か
不動産を購入して資産を増やすことは、果たして経営にとって価値があるのでしょうか。
賃貸なら初期費用は抑えられますし、固定資産税もかかりません。キャッシュフローだけで見れば、賃貸のほうが合理的な場面は多いです。
一方で、自社物件は毎月の賃料が発生しません。完済すれば固定費がゼロになります。そしてBS(貸借対照表)上の資産として、銀行融資の担保にもなります。信用力が上がります。
ただし、メリットだけではありません。総資産が膨らめば総資産回転率やROAが下がります。売上が伴わなければ「資産を有効活用できていない会社」と評価されます。債務償還年数も伸びます。不動産ローンを組めば、今の稼ぎで借金を何年で返せるかという数字が悪化し、次の融資審査に響きます。借入で買えば自己資本比率も下がり、財務体質が弱いと見られます。
担保評価、収益性、返済能力、財務の安全性。不動産取得はこれらすべてに影響します。
こういう消極的な見方を全部吹き飛ばすくらい、会社を大きくしたいです。同じ立場の経営者は、どのようにお考えですか。