仕事終わり、新しく購入した倉庫にうちの職人さんたちが集まってくれました。資材の配置、棚のレイアウト、外構の計画。「ここはこうしたほうがいい」「この棚は奥にしよう」。いろんな意見が自然と出てきます。これからみんなで使う場所だから、みんなで決める。当たり前のようで、自分にとっては大きな変化でした。
独立して気づいたこと
ものを買うにも問屋さんとの取引口座が要ります。自分の場合は、サラリーマン時代から十数年間付き合いのあった問屋さんがいたので、口座開設もスムーズにいき、価格も優遇してもらえました。これは日頃の関係があったからです。
工事を受注しても、自分一人では物理的にこなせない規模の仕事が来る。外注をお願いするにも、信頼関係がなければ誰も来てくれません。
サラリーマン時代には見えなかったこと
正直に言うと、会社員だった頃は取引先との関係を軽く見ていました。問屋さんに対しても「こっちは客だ」というスタンスがどこかにあった。外注先に対しても、上から見ていた部分があったと思います。
独立してから、その考えがいかに間違っていたかを思い知りました。
会社設立1年目に、大きな失敗をしています。新しく一緒に仕事をすることになった外注先に、もともと付き合いのある外注先と同じように一つの現場を任せて、自分たちは別の現場に行っていました。後日、その方から「ほったらかしにされた」と言われました。それ以来、その方とは疎遠になりました。
本当に反省しています。関係性がまだ築けていない相手に対して、長年の信頼関係がある相手と同じ距離感で接してしまった。相手からすれば、初めての仕事で不安もあったはずです。そこに寄り添う姿勢が足りなかった。信頼関係とは、時間をかけて積み上げるもので、こちらの都合で省略できるものではありません。
困ったときに助けてくれるのは、日頃から対等に付き合ってきた相手です。今までの付き合いがないところには、いくらお金を積んでも来てくれない会社は多い。逆に、普段から関係を築いていれば、急な依頼でも駆けつけてくれる。これはAIの活用や経営戦略以上に、事業の土台になるものだと感じています。
幸福度はお金では決まらない
こんな研究があるらしいです。ハーバード大学が75年間にわたり724人を追跡した研究。その結論はシンプルでした。人の幸福と健康を最も高めるのは、収入でも地位でもなく、「良い人間関係」だということです。
同じくハーバード大学が主導した22カ国20万人以上を対象にした調査でも、経済的に豊かな日本が幸福度で最下位になる一方、必ずしも裕福ではない国々が上位に入っています。お金だけでは幸福にはなれない。データが証明しています。
くだらない話ができる関係が、一番の財産
倉庫の前でブロック塀に座って、くだらないことを話している時間。厳しい現場の後の、ほんのひとときの休息。こういう時間が楽しいから、きつい仕事も続けられる。
いろんな業種、いろんな立場の人と関われるのは、この仕事の大きな魅力です。そしてその関係は、上下ではなく対等であるべきだと思っています。みんながいるから大きな仕事ができる。一人の力では絶対にたどり着けない場所がある。
今回伝えたいこと
想像してみてください。一人で起業した場合のことを。誰か力になってくれる人はいますか。
仕事は一人ではできません。お金でもありません。一緒に働く人たちとの「対等な関係」こそが、事業を続けていくうえで大切なものだということ。これは自分の経営理念でもあります。