プラント工場のテント倉庫に、高天井用のLED照明を6台設置しました。既存の照明は暗く、水銀灯クラスの明るさが必要でした。今回はその選定から施工までを、順を追って記録します。

照明の工事は「明るくすればいい」では終わりません。どれくらいの明るさが必要か、環境に耐える器具か、天井にどう固定するか。一つずつ条件を詰めて、施工前に机上で答えを出しておきます。これが仕上がりを左右します。

施工前のテント倉庫の内部。パイプトラス構造の骨組み
施工前のテント倉庫。骨組みだけが見える状態

まず「どれだけ明るくするか」を決めます

最初に行うのは客先との打ち合わせです。用途と作業内容をうかがい、必要な明るさ(要求照度)を決めます。明るさの根拠はJIS Z 9110という照度基準にあります。倉庫や作業区分ごとに目安が定められています。

このテント倉庫は粉塵が出て、夏場は高温になる環境でした。そのため器具は「高温用・IP65(防塵防噴流)」であることが条件に加わります。明るさだけでなく、環境への耐性も要求のうちに入ります。

器具選定と照度計算

選んだのはパナソニックの高天井用器具 XYM2041-LE9です。全光束16,000lmで、以前の水銀灯400形相当。昼白色5000K、演色性Ra70、高温用でIP65です。粉塵・高温・オイルミスト環境に対応した器具になります。

納入したLED高天井器具XYM2041-LE9の本体
納入したLED器具本体(XYM2041-LE9)
納入した6台の器具と電源ユニット一式
納入した6台の器具と電源ユニット一式

台数と配置は、照度計算で決めます。取付高さ4.4mに6台配置し、保守率0.81を掛けて計算しました。結果は平均245lx、最小46lx。将来の汚れや光束低下を見込んでも要求を満たす配置です。

照度計算の等照度曲線の図面
照度計算の等照度曲線。取付高さ4.4m・6台で平均245lxを確保

この計算図が、施工前に「要求を満たすことを保証した資料」になります。現物を付ける前に、明るさは紙の上で決まっています。

テントの骨組みへの取付を工夫します

テント倉庫の骨組みは、丸パイプとL型アングルを組んだパイプトラス構造です。ここに器具と電源ユニットを、それぞれ専用金物で固定していきます。

L型アングルに取り付けたビームクランプHBタイプ
L型アングルに取り付けたビームクランプ(HBタイプ)。穴あけ不要で固定できる
丸パイプにダクターチャンネルで固定した電源ユニット
ダクターチャンネルに固定した電源ユニット

電源ユニットは器具のすぐそばに置くと配線が短くなります。高温用器具は放熱も大切なので、向きと位置に気を配ります。落下防止ワイヤーも器具・電源ともに必ず取り付けます。

施工上の注意点

高天井用のLED器具には、メーカーの施工説明書に守るべき点があります。今回押さえたのは次のとおりです。

まず電源の流れです。この電源ユニットはボルトフリー入力で、AC100Vでも200Vでも使えます(定格入力AC100〜242V)。商用電源を受けて、LED専用の電圧・電流に変換し器具へ送ります。結線は電源線・出力線ともに極性(+・−・アース)を合わせます。

AC100〜242V(ボルトフリー)→電源ユニット→LED器具の電源の流れと極性の図
LED電源の流れと接続。AC100〜242V(ボルトフリー)が電源ユニットで定電流に変換され、出力動作電圧206V・0.45AでLED器具へ送られる。結線は極性(+・−・アース)を合わせる

取付向きにも決まりがあります。水平取付では横転(横倒し)させて使いません。垂直取付では、出力線が上側になるように取り付けます。向きを誤ると防水や放熱に影響します。

口出し部とステーの距離を15mm以上あけることを示す施工説明書の図
電源線・出力線の口出し部は、ステーから15mm以上離す(施工説明書より)
口出し線の接続方法。スリーブ接続後に自己融着テープと絶縁テープを巻く図
口出し線の接続方法。スリーブ→自己融着テープ→絶縁テープの順で防水する

こうした注意点は、火災・感電・浸水を防ぐための最低条件です。器具ごとに説明書を確認してから取り付けます。

高所作業車で取付、そして点灯確認

本体と電源ユニットの取付・結線は、高所作業車で進めます。極性を間違えないよう、電源線と出力線の色を確認しながら結線します。

テント倉庫の骨組みに取り付けた高天井LED器具
骨組みに取り付けた器具(高所作業車で施工)

電源側は、分電盤のブレーカーを取り付けます。今回は照明回路用に、配線用遮断器(BW50SAG・3P30A)と漏電遮断器(EW32AAG・20A)を盤に設置しました。ここから各器具へ電源を送ります。ブレーカーは過負荷や地絡から回路を守る大切な部分です。

分電盤に取り付けた配線用遮断器と漏電遮断器
分電盤に取り付けた配線用遮断器(BW50SAG)と漏電遮断器(EW32AAG)

最後に、盤のブレーカーを投入して点灯確認をして完了です。

点灯した高天井LED器具
点灯後の器具。昼白色でしっかり明るい
点灯後の倉庫内。天井のLED照明が点灯している様子
点灯後の倉庫内。天井のLEDが均一に点灯

点灯したら、照度計で実際の明るさを測定します。外光が入ると正しく測れないので、暗くなってから(日没後)に測ります。設計では平均245lxを見込んでいました。床面の数点を実測し、設計値を満たしているかを確認します。計算どおりの明るさが出ていれば、要求照度を満たしたという確かな裏づけになります。

完成したテント倉庫の外観
完成。外から見たテント倉庫

照明も「要求→設計→検証」で品質が決まります

今回の流れを整理すると、客先の要求を条件に落とし、器具を選び、照度計算で検証し、施工し、点灯で確かめました。明るさは付けてみて決めるものではなく、施工前に計算で押さえておくものです。

照明更新をご検討中の方は、まず必要照度と環境条件からご相談ください。選定と照度計算まで含めて対応いたします。

この記事は note にも掲載しています。現場の写真とあわせてご覧ください。

note版「プラント工場のテント倉庫にLED照明6台」