公共施設の屋上で、エアコン更新に伴う電源工事をやった。自分たちの仕事は、既設のプルボックスから新しい室外機まで電源を送ること。今回の記事では、配管・穴拡張・結線までの流れを紹介する。
接続図イラスト:今回の電源工事の全体構成
既設プルボックスから新規室外機へ配管
まず既設のプルボックスから新規室外機まで、厚鋼電線管(G28)と防水プリカチューブ(呼び30)で配管する。
今回敷設した配管
厚鋼電線管(G管)とは
正式名称は「鋼製電線管」。JIS C 8305に規定されている。電線・ケーブルを物理的に保護するための鋼管で、電気工事の配管材として最も基本的な存在。
鋼製電線管には3種類ある。厚鋼電線管(G管)、薄鋼電線管(C管)、ねじなし電線管(E管)。今回使ったのは厚鋼電線管のG28。
G管の特徴は、管端にねじ(CTGねじ)が切れること。カップリングやコネクタとねじ込みで接続するため、接続部の強度と気密性が高い。屋外や防水を要する場所、機械的衝撃を受ける場所に向いている。C管やE管より肉厚で頑丈だが、その分重い。
G28の寸法は外径33.3mm。「28」は内径の呼び寸法を示している。
主なG管のサイズ一覧はこう。
| 呼び | 外径 |
|---|---|
| G16 | 21.0mm |
| G22 | 26.5mm |
| G28 | 33.3mm |
| G36 | 41.9mm |
| G42 | 47.8mm |
| G54 | 59.6mm |
今回はG28をプルボックスから室外機の手前まで配管し、室外機への引き込み部分は曲がりに対応できる防水プリカチューブ(呼び30)に切り替えた。直線部分はG管で強度を確保し、曲がりが必要な部分は可とう性のある防水プリカで対応する。現場ではよくあるコンビネーション。
防水プリカチューブとは
正式名称は「ビニル被覆金属製可とう電線管」。JIS C 8309(金属製可とう電線管)に準拠した製品。
構造は4層になっている。内側から亜鉛めっき鋼帯の螺旋管、綿糸のパッキン、亜鉛めっき鋼帯のコーティング、そして最外装に軟質ポリ塩化ビニル(PVC)の被覆。この最外装のPVC被覆があることで防湿性・防水性を持つ。
よく間違われるが、PF管(合成樹脂製可とう電線管)とは全くの別物。PF管は樹脂製で柔らかい。防水プリカは金属製で、外部からの衝撃に強く、屋外や水気のある場所に向いている。
なぜ防水プリカを使うのか
屋上は雨風に直接さらされる。内線規程では、湿気の多い場所や水気のある場所での電線管工事に対して、防水性能のある電線管を使用することが定められている。金属製可とう電線管工事において、屋外や防湿を要する場所では防水プリカチューブ(ビニル被覆付き)を使うのが原則。通常のプリカチューブ(PVC被覆なし)は屋内専用。
防水プリカとボックスコネクタのサイズ一覧
防水プリカの呼びサイズごとに、ボックスコネクタ(WBG型)の必要ノックアウト穴径が異なる。現場で穴を加工するときに必ず確認する数字。
防水プリカのボックスコネクタ
| 防水プリカ呼び | ノックアウト穴径 |
|---|---|
| 10 | 21mm |
| 14 | 21mm |
| 17 | 21mm |
| 24 | 27mm |
| 30 | 34mm |
| 38 | 42mm |
| 50 | 48mm |
今回使ったのは呼び30の防水プリカ。必要なノックアウト穴径は34mm。
穴が合わない。27mmを34mmに拡張する
ここで問題が出た。
既設プルボックスの穴は27mmで空いている。ところが、呼び30の防水プリカ用ボックスコネクタに必要な穴径は34mm。7mm足りない。そのまま入らない。
既設プルボックス、穴径27mm
こういうとき使うのがノックアウトパンチ。鉄板に穴を空ける専用工具で、既設の穴を拡張するのにも使える。今回は27mmの穴を34mmまで広げた。
ノックアウトパンチで穴あけ
仕組みはシンプル。穴の表と裏からサイズの合った駒(パンチダイスとダイス)を挟み込み、ボルトで締め上げて鉄板を打ち抜く。駒は穴のサイズごとに分かれていて、現場では複数サイズを持っておくと対応力が上がる。
ノックアウトパンチの駒(パンチダイス)
穴を拡張したら、ボックスコネクタを取り付けて防水プリカチューブを接続。ロックナットをしっかり締めて、防水性を確保する。
防水プリカとりつけ
室外機への引き込みと既設ケーブルとのジョイント
防水プリカチューブを室外機まで通したら、中にケーブルを通線する。室外機の内部まで配線を引き込む。
プルボックスの中では、既設のケーブルと新規のケーブルをジョイントする。盤側から来ている既設ケーブルと、室外機側に向かう新規ケーブルを接続する。
次は、室外機本体側の結線作業。その前に、
圧着端子の種類と規格の読み方
室外機の電源端子台はR・S・Tの三相+アース。ここに接続するために、ケーブルの先端に圧着端子を取り付ける。
よく使う2種類:Y型と丸型
圧着端子は大きく分けて2種類ある。現場で最も使うのがこの2つ。
Y型(Y形先開端子)
先端がY字(フォーク状)に開いた端子。ネジを完全に外さなくても横からスライドして着脱できる。配線の変更や仮接続が多い場面で使いやすい。ただしネジが緩むと外れるリスクがある。
Y型圧着端子
丸型(R形丸端子)
先端に丸い穴が空いた端子。ボルトを完全に通して固定する。ネジが緩んでも端子が脱落しない。電源の端子台接続に最も多く使われる。今回の室外機結線もこの丸型を使った。
丸型圧着端子
どちらもJIS C 2805(銅線用圧着端子)に規定されている。電源回路の最終接続には、脱落リスクのない丸型(R形)を使うのが基本。
品番の読み方
圧着端子の品番は「R○○-△」(丸型)や「Y○○-△」(Y型)の形で、ルールがある。
- R=丸型(Ring)、Y=Y型(Y形先開)
- ○○は適合する電線の公称断面積(mm2)
- △はスタッドボルトの径(mm)
例を挙げると、こうなる。
| 品番 | 電線サイズ | ボルト径 | 使用例 |
|---|---|---|---|
| R1.25-4 | 1.25mm2 | M4 | 信号線・制御線 |
| R2-4 | 2mm2 | M4 | 小容量の電源線 |
| R5.5-5 | 5.5mm2 | M5 | 三相200V電源線 |
| R8-6 | 8mm2 | M6 | 大型空調の電源線 |
| R14-6 | 14mm2 | M6 | 主幹回路 |
今回の室外機端子台はM5のネジ。電線は5.5mm2なので、使った端子はR5.5-5。
圧着のポイント
使ったのは手動圧着工具。ケーブルを剥いて丸端子に差し込み、工具でカシメる。
- 被覆ムキ寸法の目安は、芯線が端子の圧着部から約1mm出る長さ。電線の被覆が圧着部に噛み込まないようにする。被覆が噛むと導通不良の原因になる
- 圧着後、端子を引っ張って抜けないことを確認する
- 圧着マークが正しく付いているか目視確認する
圧着状況
最後にVキャップを取り付けて、充電部の露出を防ぐ。感電防止の基本的な処置。
Vキャップをつける
結線。R・S・T+アースを接続する
端子台にケーブルを接続する。色分けはR相=赤、S相=白、T相=青、アース=緑。
接続手順はこうだった。
- 端子台のネジを緩める
- 丸端子をネジに通す
- ドライバーでしっかり締め付ける
- 増し締めマークを付ける
端子締め付け
増し締めマークは、ネジと端子台に跨がるようにマーキングペンで線を引く。これがあると、後からネジが緩んだかどうかを目視で判断できる。竣工検査でも確認されるポイント。
R・S・T結線完了
まとめ
エアコン更新の電源工事は、機器据付の裏側にある地味な作業。ただ、防水プリカの選定、穴のサイズ調整、圧着、結線と、一つずつ確実にやらないと後々トラブルになる。
特に屋上は環境が厳しい。防水処理と端子の締め付けを甘く見ると、数年後に漏電や接触不良が起きる。地味だけど、ここが電気屋の仕事。
エル・エル・イー電気株式会社